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2011年6月20日月曜日

チェルノブイリとの比較

(5/26に別のブログに投稿した記事を転載しました。)

チェルノブイリとの比較

チェルノブイリで汚染地域と指定された一帯は、セシウム137の地表汚染密度が1平方m当りに3万7000ベクレル(=1マイクロキュリー)だった。[http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/JHT/JH9606A.html]

さらに、居住禁止とされたのは1平方メートル当たり148万ベクレル以上の地域だ。このチェルノブイリの居住禁止と汚染度が同レベルの地域が、福島第一原発周辺では600平方kmに及ぶ。 [毎日新聞 5月25日 http://bit.ly/kCCw8F]

日本の放射能汚染はもう既に、そこまで深刻になっているのだ。

これまで確かな線量が国によって発表されず、直ちに健康への被害はないなどという、内部被爆の蓄積を全く考慮に入れていない非科学的な発言が繰り返されて来た。原爆被爆者や反核医師の団体との仕事を通じて断片的知識を聞きかじった私でなくとも、ある程度の常識があれば、おかしいと気付くレベルの誤魔化しだ。どれ程の鉄面皮になれば捻り出せるのかと驚愕する。

さらに、万単位で各国から寄贈された線量計の多くが、そのまま成田空港の倉庫に止めおかれるなど、真実を知ろうとする市民の動きの意図的な封じ込めと疑わざるをえない。そんな中、各地で個人や有志団体の地道な努力によって線量測定が行われて来た。

しかし、それでも学校、公園、通学路など、子供達が汚染物に日常的に触れる細かな場所の多くは、その線量がわからないままになっている。その間、そこに暮らす人々、特に放射線に対する感受性の高い子供達は、目に見えない放射性物質を呼吸器、消化器官を通じて刻一刻と体内に吸収し続け、内部被爆はその実態がわからずに進んでいるのだ。

チェルノブイリで被爆した子供達の健康被害について報告したビデオの中で、福島の子供達の既に現れ始めた異変ついてに触れている。 鼻血や下痢を始め、いわゆる放射線障害の症状がこの段階で現実になっていることに驚く。また4月末には、神奈川県に住む牛乳配達員の男性が配達中雨に濡れ、その翌朝鼻から血の塊が出たり粘膜がヒリヒリしたとTwitterに投稿していた。急性症状が出る程の被爆を神奈川でするだろうかと偶然を疑ってもみた。信じたくなかったのだ。

しかし、この数値を見る限り、日本の汚染は疑いの余地なく、チェルノブイリ級の深刻な状況となっている。一体何人の罪のない子供達が、社会の相当部分が静観する中、細胞レベルでその幼い体を蝕まれているのだろう。

今後の汚染の広がりと、その持続期間については全く予断を許さない。将来に渡って東京周辺に全面的ではないにしろ、居住不可能な地域ができるかも知れない。しかし、将来を悲観する暇があったら、今何よりもすべきは、子供達の健康と将来の可能性をこれ以上損なわない為の努力をひたすら続けることだろう。その為には先ず危険な環境から子供達を救い出すのが先決の筈だ。もしも、放射線が目に見えていたら、私達はきっと皆で駆け回って、子供を背負ったり小脇に抱えてでも連れ出しているだろう。

情報統制著しい当時のソ連でさえ、チェルノブイリ周辺の住民避難は日本より余程迅速だった。事故が起きたのは1986年4月26日。事故発生から1ヶ月後までに、生まれ故郷を捨てるに偲びなかった老人などの一部の住民を除いて、原発から30km以内に居住する約11万6000人が避難している。日本では放射能汚染が始まった3月半ばから、もう既に2ヶ月半が過ぎようとしている。

震災当初の日本に対する世界の評価の一つは、「日本人はこの未曾有の危機に於いてもパニックも、掠奪などの犯罪も起こさず、稀に見る秩序正しい民族」というものだった。しかし、今の日本の状況を世界の人々は、どう理解したらいいか困惑している。あまりにも不可解だ。

先日ニューヨークタイムズ紙に、「子供の被爆限度20ミリシーベルト問題で住民らが抗議」という記事が出た。これを読んだ友人から、「従順な日本人がそこまで自発性を持って動いただけでも上出来なのでは」とのメッセージが届いた。日本人はそんな風にも見られている。

私達がが自らの政治や社会の在り方を考え、新たな動きを作る力を今ほど問われる時はないと思う。



出典:

「汚染地域」という言葉は、チェルノブイリ事故の場合、1平方m当りにすると1マイクロキュリー(=3万7000ベクレル)[原子力資料情報室編「チェルノブイリ10年:大惨事がもたらしたもの」(1996年4月)]
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/JHT/JH9606A.html

セシウム137が1平方メートル当たり148万ベクレル以上と算定された地域 [毎日新聞 2011年5月25日付朝刊] http://bit.ly/kCCw8F

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http://www.youtube.com/watch?v=8ATEp8tTl5A&feature=youtube_gdata_player

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